生きる言い訳

「なぜ生きるのか?」「いかに生きるべきか?」という問いに正面から挑戦する、哲学・倫理・思想ブログ

生きるための倫理

追補:学習しない個体による集団の学習/ダーウィニズム

学習しない個体による集団の学習 個体が学習しないという条件においても、集団は環境に適応したり新たな形質を獲得したりする。代表的なものが遺伝による進化である。 遺伝子と自然選択 遺伝子を用いた自然選択による保存と進化を行う生物種はその全体を、個…

生きるための倫理:まとめと結論

これまで、「人は良いと思った行動をする」から出発し、普遍的倫理を求めてコミュニケーションの形成を順を追って見てきたが、今や全体を俯瞰して説明することができる。 コミュニケーションは階層性を持つ コミュニケーションは階層性を持つ。創発によって…

コミュニケーションにおける倫理的態度と非倫理的メッセージ

コミュニケーションを基盤とした倫理に適合する、具体的行動を導き出すことを試みる。この倫理を守る原動力となるのは、コミュニケーションへの意志である。私は、私とかかわるすべての人がこの意志を持つことを信ずる。そうした意志がないのならば、人と会…

コミュニケーションの形式を基盤とした倫理の試み

これまで、「善いと思ったことをし、結果から予測を修正する」という個人の行動原理から出発して社会の形成を見てきた。しかし事実から規範を導くことはできないため、倫理は未だ存在しない。 なぜ新たな倫理を試みるか/リベラリズム批判 私が新たな倫理の確…

ゲーム(あるいはコミュニケーション)の生成と崩壊

ここでは、前回までに述べた言語ゲームや「言論ゲーム」を含めた、相互学習によるコミュニケーション上に展開されるゲーム一般の記述を試みる。ゲームは定常的なコミュニケーションを表現するものであり、この生成と崩壊の解明がコミュニケーションの正常な…

言語による理念についてのコミュニケーション:言論

言語は、さまざまな別のコミュニケーションを成立させる基盤となる。言語の基本的な記号操作を前提として、概念や理念を主題とした独自のコミュニケーションが機能する。哲学をはじめ、法律、倫理、文学、社会や政治などがこれに当たる。これらのコミュニケ…

コミュニケーションの一階層としての言語

言語の発生と発展 相互学習のコミュニケーションによって、合意的に決まりごとが作り出され、記号的なやり取りが生み出される。記号操作が十分に発展すると、それらは次第に言語を形成していく。この過程では言語は何ら先験的な意味や形態をもつものではない…

二者間の相互学習/ハラスメント

前回の記事では、個人の行動選択における学習の機能を述べた。今回は、二つの学習する主体が相互に関わり合う場合を考える。 相互学習のプロセス:コミュニケーション それぞれの学習の動作は、前回の記事で述べた個人の学習の動作と変わらない。価値の予測…

一人の人間にとっての善/倫理の根となるべきもの

一人の人間にとっての倫理を確立することなしに、普遍的な倫理を確立することは不可能である。行動するのは個々人のみであり、選択は個人に課せられているのだから、いくら普遍的な倫理があっても個々人がそれにコミットしなければ絵に描いた餅である。功利…

倫理への挑戦

人間の死を要求する暴力に抗い、生きることを選ぶこと、そしてその根拠を個別的な事情に頼るのではなく人類普遍のかたちに求めることは、必然的に普遍的な倫理への挑戦となる。 現代日本社会に倫理は存在しない。善悪の判断や道徳は単純な心理的利己主義に回…

生きるとはどういうことか/生きるとはどういうことか、とはどういうことか

さて、生きる言い訳をするというのだから、まず生きるとはどういうことかを明らかにするのが当然の仕事に見える。 生命とはなにか 「生きる」という動詞から生命、生物という名詞に無批判に飛躍するのは避けたいところだ。しかし、運動よりも性質のほうが記…