生きる言い訳

「なぜ生きるのか?」「いかに生きるべきか?」という問いに正面から挑戦する、哲学・倫理・思想ブログ

短編雑文集

2022-2023年を想う

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」 年が明けても何が変わるわけでもない。淡々とその時その時を生きていたいから、一年の振り返りや新年の抱負といったものは努めてしないようにしている。けれど、今年は大きな進展や変化が見込めそうだから…

年末年始、暦、区切ること。儀礼的な所作の意義

年末の大掃除だとか、新年の抱負だとか、そういった季節のイベントが好きではなかった。普段からやったほうがよいことは普段からやればよい。日々は続いていくのに、わざわざ特別な日をつくって区切りをつける意味が理解できなかった。 しかし、平坦な日常を…

方法的懐疑から合理的な神秘主義へ――いかにして「信じる」ことは正当化されるか

安冨歩はその著書『合理的な神秘主義‾生きるための思想史 (叢書 魂の脱植民地化 3)』や『生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却 (NHKブックス)』のなかで、マイケル・ポラニーの思想などを背景に、懐疑主義に基づく近代思想を退け、「信じる」ことに…

山田屋のドームクーヘンがめちゃめちゃおいしかった話

山田屋まんじゅうの「ドームクーヘン」というお菓子がある。バームクーヘンと饅頭の組み合わせが絶妙で、これがとてつもなくおいしい。お菓子作りは超複雑な系であり、明示的知識や手続的計算では対応できず、職人の勘と呼ばれる暗黙の次元に頼るほかない。…

「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―」とアンティゴネ

知り合いの日本共産党市議に誘われ、映画「わが青春つきるとも―伊藤千代子の生涯―」を観た。この映画は、桂 荘三郎監督のもと、全国的な協賛募金と製作支援上映権の販売によって製作され、全国で上映活動がなされているものである。 chiyoko-cinema.jp 伊藤…

アイドルと戦争についての時代精神

2022年8月11日に放送されたNHK特集ドラマ『アイドル』の終盤の一幕が、2022年夏クール放送のアニメ『プリマドール』第3話「星空の鎮魂歌」とシンクロニシティを起こしている。異なる作家が同時期に同じテーマ、同じシナリオを選択した以上、これは何らかの時…

Acting Out, Passage to the Act and...... : 真に政治的な行為の難しさ

www.youtube.com 福島のぶゆき衆議院議員と安冨歩東大教授の対談動画を視聴した。動画の内容のすべてをここで書くわけにはいかないので、気になった方は動画を見てほしい。 私がこの記事を書くのは、数年来課題として考えてきた問題がこの動画にも表れており…

参政党現象に警戒せよ!――なぜ参政党は民主主義的解放をもたらし得ないか

2022年7月10日、第26回参議院議員通常選挙の投開票が行われた。新興政党である参政党は、比例区で3.3%を得票し、1議席を得た。同党は、コミュニティ・オーガナイジングの手法やインターネットおよびSNSを駆使し、メディアや既存政党からはノーマークの状態か…

商品の非コミュニケーション化とコミュニケーションの商品化

名の知れた哲学作家がTwitterで炎上した。どうも、ファミリーレストランでの新しい注文方式を嘆いたところ、人々の癪に障ったらしい。 たしかに、今さら疎外論で社会を嘆いてみせるというのもいささかナイーブに見えるし、マルクス以下近現代思想のすべてに…